2008年04月30日

自然状態と言う神話?

ホッブスが『リヴァイアサン』の中で言い出した人類の「自然状態」とは一体何な
んだろう?ホッブスの説明ではそれは個々人間での戦争状態であり、現代で言えば、
それ以上上位の主権が存在しない主権国家間の関係を個人間に見出した物で、歴史
的あるは考古学的に考察した過去の事ではない。それは国家の無い状態と言うより
は国家の外にある状態の事の様である。ではなぜホッブスはそんな話をする必要が
あったのか?

ホッブスが生きた17世紀当時は絶対王政の時代だった。そして王の支配を正当化す
るイデオロギーは王権神授説と言われる物で、王は神の地上の代理人として国を支
配するのだと言う物だった。この王権神授説は聖書をその根拠の出典としていて、
ほとんど神話の様なイデオロギーで、これに対抗する為にはホッブスも別の神話を
用意する必要があったのではないだろうか?そしてそれは神の神話に対抗する為の
民の神話ではなかったのか?

ホッブスは国家の成立要因を神から民に書き換える為に「自然状態」と言う理論的
な仮想モデルを語る必要があり、民を国家の基礎に据える為の神話を語る必要があっ
たのだと思われる。ただここで言う民とは民族と言う意味での「民」ではない。
近代の国家は国民国家、英語で"Nation-State"と書くが、国民(民族)が"Nation"
で国家が"State"になる。記述の並びでは"Nation"が先だが、できたのは"State"
が先で"Nation"が後からやって来る順になる。ホッブスの頃のイングランドはピュー
リタン革命や名誉革命が起こって近代的な国家="State"が形成される時期にあたり、
国民(民族)="Nation"がやって来るのはフランス革命以降になる。ここで言われ
て居るのは国民(民族)に纏められる前のバラバラの民である。

ホッブスが言い出した「自然状態」はその後スピノザ、ロック、ルソー、モンテスキュー
などに批判的に継承され、ルソーによって「社会契約」と要約される社会契約論と
なり、近代国家の理論的基礎に成って行くが、その辺の話はまた後で。。。
posted by 浅谷龍彦 at 23:57| 千葉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 思索(自由) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。